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定時制だって古典! [業務日誌]

2学期は2~4年生すべて松っつぁんの授業は「古典」。
すでに5時間くらい経過したが,いやはや現代文より授業ははるかにしやすい(驚)。

教科書でも入門教材としては定番の説話『宇治拾遺物語』の“児のそら寝”。

 今は昔比叡の山児ありけり。僧たち、宵のつれづれに、「いざ、かいもちひせむ。」と言ひけるを、この児、心寄せに聞きけり。さりとて、しいださむを待ちて寝ざらむも、わろかりなむと思ひて、片方に寄りて、寝たるよしにて、いで来るを待ちけるに、すでにしいだしたるさまにて、ひしめき合ひたり。この児、定めて驚かさむずらむと待ちゐたるに、僧の、「もの申しさぶらはん驚かせたまへ。」と言ふを、うれしとは思へども、ただ一度にいらへんも待ちけるかともぞ思ふとて、今一声呼ばれていらへむと、念じて寝たるほどに、「や、な起こしたてまつりそ。幼き人は寝入りたまひにけり。」と言ふ声のしければ、あなわびしと思ひて、今一度起こせかしと、思ひ寝に聞けばひしひしとただ食ひに食ふ音のしければ、ずちなくて無期ののちに、「えい。」といらへたりければ、僧たち笑ふことかぎりなし。 


笑い話の中に人間のおかしみや本質が描かれている。
全日制と違って,文法はほとんど触れなくていいので,読解や内容に突っ込めるのが楽しい。
生徒たちにしてみれば,英語と同じく外国語に近い印象だろうから,それを少しでも現代に近づけて
一人でも多くの生徒に「へぇ~」ボタンを押してもらえたら,それが一番の成果だろう。

3,4年生は1学期からずっと古典を学習していて,「係り結びの法則」なんてモノにまで触れている
ので,【1学期のおさらい】を虫食いのプリント1枚を3時間かけて復習(^_^;)

2年生は初の【古典】らしいので,プリントにせず,同じ内容をすべて板書して,ノートに書かせた。
おさらい,とはいっても中学生レベルの古典だ。それでも結構難儀している生徒もいれば,すんなりと
適応できている生徒もいる。

今回は「ノートの書き方」を全学年&全クラス固定させた。
【ノートの整理度=頭の中身の整理度】だと思っているから。
生徒たちはこれに関してはほとんど不平不満もなくやってくれている。
それでも,ほら,毎日来ない人たちだから,毎回1から全部書き方を説明しなければならないという
煩雑さは相変わらずである。根気よくノートを毎回かき集めて,チェックして,返却して,再提出させ
て・・・ようやく落ち着いてきたのかな?という感じである。

軌道に乗ると,定時制の生徒だって勢いづいてくる(笑)。
予想以上に授業は集中している。
書くことに集中し過ぎて,話全然聞いていない生徒もいれば,
こちらの話も聞かなくちゃいけなくて,書くのが遅くなる生徒もまたいる。

双方の様子とバランスを見ながらの授業。
でも,ちょっと休憩して黒板を写している間に下世話なトークを展開すると,今度はノートそっちのけで
トークに集中したり,あるいは全く関係のない内輪話を始めたりするので,まったく目が離せない人た
ちである(-_-;)

それでも,「児のそら寝」は思った以上に食いついてくれているらしい。
この教材での今回のポイントは,

① 古文は「主語」や「助詞」が省略されているという特徴をおさえる。
② 古文特有の言葉(古語)を知る
③ 敬語の基本を学ぶ
④ 話の内容を理解する

だろうか。

主語や助詞の省略ってたって,普段から「せんせー 来たー」とか「あたし 出したよー」
なんてまさに古文並みの省略をして日常会話を展開している生徒たちである。
チミたちと同じだよ,と説明すると結構ウンウン,とうなずきよる。
しかも古文で「誰が“ひしめき合ひたり”ですか?」とか「何が“出で来るを”かい?」と尋ねると
あまり抵抗なくちゃんと答えを出せるから,やはりイマドキの高校生の方が古文は強いのかも。

もっとも関心が高いのは「敬語」
全日制の生徒だとバイトもしないので,ましてや古文で敬語なんて最初からテンション低いのが
常なのだが,定時制だとそういう複雑な思考はしないので(笑),敬語は敬語としてとらえてくれる。
特に4年生は就職や推薦入試の面接が控えているのか,結構必死な感じ。中には進級・卒業で
必死という子もいるのだが(~_~;)

なにはともあれ,「児のそら寝」本文に入るまでがてんやわんやで,入ってしまえばこちらのペース。
敬語の基本を学んだ生徒たちに,お坊さんが小さな子供に尊敬語や丁寧語を使っているのって
なんかおかしくない??と尋ねると,一様に「ホントだ」「なんで??」と思ってくれる。

この行間に,実はインモラルな背景が見えてきたりするのだよ・・・うひひ

なんて話をすると,また違う表情になって,身を乗り出してくる。

「どんな???」

「下ネタっぽいやつ???」

「けっこうエグい話なの??」

優等生には決して答えられないことを,定時制の生徒たちはちゃんと答えてくれるから
ありがたや~

お坊さんたちの環境や日常を説明していくうちに,言葉にしなくてもだんだん「ソレ」と分かって
きだす。そうなると,もう口に出せなくなって,しーんとしながらも,顔は「なるほどー」となり,
最後には

「ひでー!!児,かわいそーじゃん!!」

となった(^_^;)

このリアクションは初めてかもだ。
そっかぁ・・・生徒目線で見ると,「児が可哀相」なんだね。
チミたちも大概,辛い思いをしているからかねぇ。
やさしいまなざしがちらりと見えた一瞬でもある。

それを抜きにしても,「児のそら寝」は面白い。
「そら寝」をする児の幼さとプライドが随所に現れる。
そんな児に対して同一視しているのだろうか,それとも少し大人の目線で見ているのだろうか。

最後のオチは,「かいもちひ」は本当にぼた餅なのか?

という仮説を立てて検証する予定。


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