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Expiations2 ~ケース①~#2 [業務日誌]

バセドウ病と精神疾患を患った女子生徒の事例#2

【前回のおさらい】
●Sちゃんは
バセドウ病を患う前後2~4ヵ月の間に,精神疾患も患う。
●精神疾患の原因は,人間関係(殊に男女の恋愛関係)のもつれ,複雑化に適応できなかったと
 本人が自覚していること。
●不登校および閉鎖的な精神状態で,周りを遠ざける言動が見られた。
●インターネットサイトが関わっていること。



慣れない新しい人間関係を構築することになじめなかった・・・と書くとなんだかとても当該者の人間性
が未熟で至らなかったみたいに映るけれども,Sちゃんのケースは本当にそうなのだろうかと思う。こ
のケースは恋愛に慣れているなしはあまり関連性はないと考える。本人の性格も過分あるとしても,や
はり彼女や同級生たちの実年齢と,彼らを取り巻く環境(家庭の多様化,ネットや情報の過多etc..)
が現代社会がうまく比例していないのではないかと思う。

携帯電話およびそこにある機能がもたらす,新しい世界や仮想社会は,このような事態も引き起こし
かねない要素をもっていることを,オトナがまず知らなければならないと思う。しかし,意外とオトナは
知らない。*昨年もmixiがもたらしたいじめ事件で,被害生徒があのアホ副社長にことの経緯を一生
懸命説明するも,「フォトショップ」は街中に行けばある店だと思っていた副社長に分かるはずもない。
可哀想なくらい辛い体験のプロセスを何度も説明させられては,同じ質問をされ,あげくに「そんなワケ
の分からないことをやっていた君にも問題はあるのでは」なんて云われる始末があったくらだ。

このように,教員は意外と子どもの世界が進んでいることを,それがどんな世界なのかを知らない。ま
だ保護者や家族のレベルは知っているのかもしれないが,今回のケースはいまだにご存知ではない
ようだ。私も彼女がネットに深く関わってはいるだろうが,恋愛沙汰に巻き込まれているとは恥ずかし
ながらファイターズをやってても察することはできなかった。それくらい,普通の子たちもやっているのが携
帯を使ったネットの実態であろう。掲示板やアプリも高校生をターゲットにしたものはかなり増えてい
る。概ね,ゲームサイトに付随した掲示板やチャット機能が多いようだが,これもまた一部に過ぎなくて
私もその一部しかしらない大人である。

今回,Sちゃんのカミングアウトによって今の生徒たちの背後に横たわっている,多様で複雑な人間関
係,それに伴って最悪の場合,心の閉ざして病んでしまうメンタルの弱さの内実の一部分を見たように思う。

不登校気味になったり,バセドウ病を患っている生徒がいることはどこか遠くで記憶していた範囲だ。
学年担当でなければずっと知らずにいただろう。ましてや彼女が言うには,この件の事情を本当にさ
いしょから最後までリアルタイムに知っているのは友達一人だけで,担任や養護教諭,親もこの「人間
関係」が恋愛沙汰にかかるもので,だからといって本人らにとって決して底浅いものではないことなど
知る由もない状況だという。

もとより自尊感情が低いSちゃんが,大人社会と同レベルの人間関係の渦中に入ってしまい,ますま
す自尊感情を損ねてしまったという事態である。もっというと,彼女を傷つけてきたカレ氏や他男子た
ち,そしてこのカレ氏の元カノやらなにやら・・・すべて高校生であり,やはり自尊感情の低さが招いた
といってもいいだろう。

お笑い芸人の大げさともいえる愛情表現を素直に受け取れなかった,あるいは気づけなかったとい
う。告白された時も,Sちゃんは「どんな罰ゲームなんだろう」と思ったそうだ。そして,カレの気持ちに
自分も答えようとしていることに気がついたのは,すでにカレの女性関係のだらしなさが厳然としたとき
である。なのに,どうしてキライになれなかったのか・・・自分が一番カレの良いところも悪いところも知
っているから,という自負だったという。

蛇足だが,お笑い芸人がSちゃんにフラれた?腹いせに??付き合い始めた??という女子もまた自尊感
情の薄い子で,前のカレ氏と別れたばかりでさみしくて仕方がなかったからだとSちゃん。この子はま
た茶髪&お化粧のオネェちゃんで,Sちゃんと対照的な子だ。お笑い芸人は見るからに恋愛依存の強
い子で,メンタルと見かけにあまり差が出ないので分かりやすい。今や耳がマサイ族のように大きく穴
が開いて,学年も指導に苦慮している。いまやこんな高校生がどの学校にも少なからずいる。彼らの
背景もまた,気の毒なくらい過酷だったりもする。だからといってやっていいことと悪いことはわるのだ
が。おそらくほんとうのことなど大人には分からないまま埋もれていく事実は沢山あるのかもしれない。

5時間ものガールズ・トークの中で,結構きわどい発言や単語がでてきていることを付記しておく。高校
生の性の現状はオトナが思っている以上に具体的に進んでいて,この部分はオトナの世界とあまり差
がない。だからこそ,思春期の心身ともに不安定で微妙な時期にこうしたケースが出てくるとややこし
い事態になりうるということであろう。

「性の問題」と「心の病」の問題がこんなにも接近しているとは。。。。アタマで分かっていることと,リア
ルに迫ってきた時とはこんなに受けとり様が異なるのだなぁと思った。バセドウ病もいわゆる女性ホル
モンに関わる病だから,過度な精神的なストレスもリンクしているように思えてならない。そして一部の
生徒だけに限るものではないことを彼女の話から教えられた。

Sちゃんのケースは結果的には,大事にはならず(本人には大事だったが),なんとか卒業まで無事に
やってきた。それは周りの配慮や努力というよりも,本人の生きる力が勝っていたことが本当にラッキ
ーだったと云える。進学に対する意識が高かった。このことがなかったら,という言われ方をしたくなか
ったという。あくまでも自分が選んで進みたいと云っている。もちろん,自分のスキル不足や努力不足
も十分承知の上でのことだ。彼女はこの1年弱,あまりのオトナはもちろん,友達にもほとんど知られ
ず,いろいろ云いたいことはたくさんあったはずなのに,誰にもぶつけることなく,それを力にして受験
シーズンを乗り切った。彼女の結果は来週以降,出てくる。

彼女から学んだことはこれからの教育活動にも大きく生かされるだろう。
1つのケースにすぎないが,どこにも全く当てはまらないものでもない,と思う。

個人的には聞いていてドキドキしていた(笑)。
だって自分が高校生のときってこんなリアルな現実はなかったもーん。
カレ氏の元カノからケチつけられるとか,自分は浮気相手なんじゃないかと思ってしまうとか,
そんな高度なレベルにも達せず・・・ま,今も同じようなものですが( ̄w ̄) ぷっ

さて。
ケース②は,このSちゃんの話を唯一聞いてくれていた,あの女の子のお話。


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