Expiations2 ~ケース①~#1 [業務日誌]
つい最近になってカミングアウトされ,思わず彼女に対する自分の指導を振り返って反省しきりで
あった。また,私自身この病症の子と出会うのは初めてだったので,ちょっと調べてみた。
【甲状腺機能亢進症の代表的な病気がバセドウ病です。この病気は、甲状腺臓器の特異性な
自己免疫疾患のひとつで、1000人中2~6人いると言われており、女性患者が男性患者より
5倍と多いのも特徴としてあげられます。】
調べていくと,名前だけ聞き覚えがあったのはアーティスト・絢香もまたそうだったからなのね。
Sちゃんは高2で発症したが,早期発見&早期治療だったので年内に復帰できた。
だから,受験も普通にできたし,卒業単位にもなんら影響はない。ただ,休んでいた分,推薦入試に
は対応できなかったが,彼女は早くから「日駒以上」「一般入試」と目標を決めていたそうだ。
Sちゃんは発症時も現在も,ノン・アレルギー。バセドウ病の原因は未だに分からない点が多いそう
だが,体質の変化ということを考えると思春期に発生してもおかしくはないのかもしれない。ストレス
を必要以上に抱えやすいSちゃん。この点も1つにはあるのかもしれない。しかし,先般,彼女の口か
ら告げられたこれまでの経験や体験はバセドウ病に限らず,広く精神疾患にも関係があるように思え
てならない。彼女のケースを通して,1つの事例として「思春期のこころの病」について今一度,私見
を深めたい。
彼女は病症を自覚する2ヶ月前に人生初の“モテ期”というものに出くわしたという。一度に3人の同級
生からいわゆる“告られた”そうだ(羨) それまでの彼女は「異性」や「恋愛」はドラマや本の中の憧れ
だったらしい。全く疎かったのだとか。ちなみにSちゃんは格別おしゃれに気を遣っているでもなく,素
朴なイナカのラッパ吹きである。それは自他共に認められていて,松っつぁんがしきりに単科の女子大
への受験をアドバイスしても「白百合」とか「フェリス」とかなんだかその大学に悪いし,ウチのガラじゃ
ないからと真顔で言う子なのだ(^▽^;)
その天然な性格と,素朴さがむしろ今のだんすぃには魅力なのだろうか。Sちゃんに言い寄ってきた
という男子3名をすべて教えてくれたが,3人とも全く異なるキャラクターの男子だ。
顔だけイケメン・お笑い芸人クン
実はファンが多いらしいひょろ長ピカちゃん
そして,爽やかイケメン優秀な団長くん。
当然,カレ氏になったのは団長クンかと思いきや,一番ド派手なお笑い芸人だったのはかなりビック
リした。とりもなおさずSちゃん自身もそんな自分に驚いたという(;´▽`A``ビギナーズ・ラックにして
は無謀だったのかもしれない。いい意味で試練とか耐性とかつくような学ぶ恋愛なら良かったが,最
初にして彼女はその不器用さゆえにこころの病を患い,その後2ヶ月もたたないうちにバセドウ病に
もなってしまったのだ。
彼女はイケメン芸人とのキッカケは1学期。カレと同じクラスの友達を介して知り合った。だが当時,
カレの人柄に対する仲間の間での評判はそんなによくなかったという。まぁ見た目チャラ男で,オンナ
関係にもだらしなかったからねぇ。Sちゃんもそれは知っていたが「噂や評判だけで自分の評価にして
はいけない」と思って普通に接していたそうだ。一方お笑い芸人クンは知り合った日にメルアドを聞き
出し,その日のうちにSちゃんにメールをしてきたそうだ。それからこの2人のココロの距離は近くなっ
たという。女子慣れている芸人クンは最初から「好きだ!」「アイシテル!」「結婚しようね」という定番の
文句をリアルでも連発していた。しかし,初恋愛のSちゃんはあまり深く思えなかったそうだ。あくまでも
「ともだち」のスタンスを保っていたし,なにしろ「よく分からなかった」という。( ̄∧ ̄)(_ _)フムフ
ム・・・無理もない。誰もが経過する道であろう。そんな日々が1ヵ月くらいあったという。
また,芸人と知り合った同時期にピカちゃんと団長から告られているのだが,Sちゃんが曰く
「メールで告るとかキモいし」。
確かに・・・イマドキだが,イマドキの女子はこういうの,大嫌いみたいですよ(ΦωΦ)
で,あっさりフッたのはいいものの,そのあと彼女はこの2人にエラい目に遭わされたという。
要するに,男子もお子ちゃまだったんだけど,ネットで「あんな子とは思わなかった」「近くでみたら大し
たことない」とピカちゃんに書かれたり,団長に関してはもっとヒドくて,おそらく付き合ってたらDVもあ
りえた,と思うほど精神的に追い詰められて,挙句に彼女は1学期に不登校気味になった。そしてその
後バセドウ病が発覚。彼女の言葉を借りれば,
「こころが崩壊してウチはマジやばかった」。
その危機を愛で支えたのがお笑い芸人クンだったことは言うまでもない(ーー;)
週1の都心への通院に毎回ついてきてくれたそうだ。帰りのお茶やファミレスではカレが全部お金を出
してくれたらしい。また彼女のリクエストにもこのカレは次々と答えて,最後には東京タワーまで連れて
行ってくれたという しかも全部オゴリで w( ̄△ ̄;)wおおっ! また,愛情表現も相変わらずストレー
トで「子どもができたら◎◎とか名前にしようね」とまで云われていた。でも,やはり恋愛ビギナー・Sち
ゃんにはイマイチ「分からなかった」と。確かにカレはすんごく優しいし、大切にされているのは分かる
けど,彼女はそれをどこまで信じて受け止めていいか分からなかったし,自分の気持ちもどうなのかさ
え分からなかったという。
なんとも可愛い,小さな恋のメロディーやないか。。。いやいや,そんな悠長なことをいっていられる時
期はごくわずかだったみたい。彼女は次にはこのお笑い芸人にも翻弄され,苦しめられ,バセドウ病
が完治した後も,こころを何度も崩壊させていたという。
簡単に言えば,お笑い芸人クンは優しいけれども,他の女子にも優しいのですな。しかもより優しいた
め(笑),オンナにだらしなく映ってしまう。Sちゃんはカレとカレをめぐる女子関係にも巻き込まれて,
筆舌するほど複雑な人間関係と混沌とする自分の心との葛藤でもがき,苦しんでいた。あまりのしんど
さに自分の友達さえ断ち切るような悪態をついていた時期もあったという。しかたないよね。芸人もSち
ゃんも,友達もみんな思春期なんだもん。
ココロだけでなく,カラダの仕組みも大きく変化をする時期だ。女子は女子にしか分からない,男子に
は男子にしか分からない,尤も本人が一番自分のことが分からなくて苦しむ時期だ。互いに弱さを慰
めあって寄り添いあうのも自然だろうし,まだ自己が確立されていないがために互いを傷つけあうのも
また自然であろう。だからこそ,この時期の思い出はよくいえば甘酸っぱい,しょっぱい,淡い思い出
にもなるし,一歩間違えば取り返しがつかなかったり,長くひきずるようなことにもなりかねない危うさ
がある。
松っつぁんにもそんな時期が・・・・あ゛っ(o・。・o),それは要らない?!(^▽^;)
少々視点を変えてみる。
このお笑い芸人クンとSちゃんの関係は今もなお私には信じがたい。
周りのオトナたちもほとんど知らない。おそらく誰もが驚くアベッ・・・いや,カップルだろう(汗)。
むろん私も知らなかったし,Sちゃんも親や先生,友達にさえ話していない。厳密に言うとこの1年半,
一人の友達にしかホンネを云えていなかったそうだ。それがなぜ今になって・・・と思うが,これもまた
不思議なもので,受験が終わった後,ファイターズの仲間ともう一人の友達と3人で打撃部屋にやって
来て,女子トークに花を咲かせていた時にふとSちゃんが話始めたのである。
甘いお菓子とお茶と恋バナだけで,およそ5時間。
とはいえ,やはりヘヴィな話なだけに,もうこちらとしてはバカ話に転換させて笑い転げさせるのでめい
いっぱいであった(@@。)・・・若さについていくってほんとうに大変だと実感した5時間でもあった。そ
してこの時,Sちゃんが1年半ずっと誰にもいえなかった初恋愛の悲しみと苦しみの日々を分かち合っ
ていたのは,実は統合失調症を患った,あの女子生徒であったこともまた判明して,内心かなり吃驚
仰天だったのだ。彼女とSちゃんはそれまで格別の付き合いがなかったのに,2人が1年以上ホンネ
を言い合い,互いを励まし,支えていたのは,この女子もまた同じような境遇だったから,ということが
分かったからである。
棚からボタ餅じゃないんだけれど・・・ゼェゼェε-(。_。;)ノ┃
それはまた別のお話で。
ひとまず,#2へ続く♪
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