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推薦入試の顛末 [業務日誌]

猫も杓子も,AO,AO。
指定校ないなら,自己推薦,公募制。

そんなこんなで結局最後(一般受験)まで闘う子は30人いるかいないか。
各クラス4~5人の計算。

今,この時期すでにクラスの約半数近くが進路が決まっている。
非常に不愉快な状況を分かってはいたけど,毎年毎年,げんなりしてしまう。
人間の正体なんて,こんなものなのかとさえ思ってしまう。

授業に平気で遅刻して,途中にも関わらずドカドカ入って,友達と喋りだすとか,
廊下にまた出てロッカーのものを取りに行く。
クラスには進路が決まらずに心許ない生徒がいるとわかっていながら,である。

何度も担任から持って帰れと注意されていたマンガ本。
ある朝にはロッカーに張り紙に「借りた人は名前かいてね」。
これには担任もキレた。
すべて没収され,大きなダンボール箱2つ分。

空いているロッカーをマンガ本入れとして私物化し,休み時間のたぴに入れ替わり立ち代り生徒
がマンガを求めて集まる。マンガの所有者は,夏休みに涙ながらに「M★大」に入りたがり,無事
に夏休み中に入学が決まった,あのジュピターだ。

彼女もまた,浮かれていた。
授業中もココロここにあらず。相変わらず課題もノートも出さない。テストは赤点。小テストでは
9割以上が合格しているものに一度も合格しない。

借りている人間もバカだ。
進路が決まっているなしに関わらず,授業中に何度となくマンガを読んでいるところを注意されて
いる3年がこのところ続出である。例の,携帯で担任に庇ってもらったヤツが,またもや別の教員
に見つかっている。

昼休みの教室はとてもじゃないが,受験生がいる景色ではない。
MP3+イヤホン(使用可能)して,片手には携帯(ホントは使用禁止),ゲーム(使用可能),
あるいはマンガ本。携帯にMP3やゲームの機能がついたものの場合,どうなるのだろう。
深キョンに突っ込んだら,苦笑いのまま立ち去られた。どんだけいい加減な指導方針を打ち出し
ておいて,何か起きるとすべて生徒に責任をおしつけるのだろう。


実のところ,勉強したい子は・・・・実は学校には来ていなかったりする。
これじゃぁ,来たくないのも無理はない。
そういう子は皆,塾に行ったり,夜遅くまで勉強して,朝起きられないという
悪循環で,どっちも効果はあまりない。

現実にも,ファイターズのイケだんすぃ・ルイ君もその1人だ。
彼はそれこそ日東駒専を一般で勝負しようと春から猛追している生徒だ。
しかし,2学期に入って彼は授業に来ていないという。調べてみると松っつぁんの現代文は
無遅刻無欠席なんだけど・・・担任にそういうと,なんだか焦った感じで,訊くとどうやら,
受験に関係ない授業に来ていないらしく,出席日数がそろそろヤバイという。ヲィヲィ(  ̄Д ̄)ノ

とりあえず,今日の特講後,少しだけ話をした。
でも,テストがない科目を出席がたらなくて卒業できないという過去の恐ろしいケースを話して
おいた。ちょっとビビッていたのだが・・・明日からの1週間様子をみたい。

でも,あまり強く「なんで来んねんや!」とは言えない。
クラスのだらーっとした,勉強とは程遠い連中の空気にさらされなければならないのだから。
そら学習意欲をそがれちゃうよね。人間ってある程度,環境の生き物だもの。


私は,受験は個人競技ではないと思っている。
団体競技だ。その集団,チームの意識の総力如何で,普通だったら落ちそうな子がミラクル合格
したりするのだ。私は過去にそんなクラスをさんざん見てきた。逆にどんなに精鋭を集めたクラス
でも,わずか1人でも意識の和を崩す子がいれば,本来合格して然りという生徒がポロリと落ちて
しまったりする。

教室(クラス)ってそういう空間なのだ。
狭いから余計に集団意識が働くし,うまく持っていけばよい方向へ向かう。
それをまとめるのが誰であろう担任である。責任は重いはずだ。

世の中は低学力の懸念より少子化による学生の確保に躍起になっている。
打撃部で公務員・看護・医療・専門学校を担当してきて,春からほぼ毎日のように来る
アポなしの営業訪問に辟易してしまう。訪問自体より,話の内容だ。

特に専門学校は甚だしいというか,もう節操がなくなっているのではないかと思う。
昨年まで成績や出席日数などが条件に合って,落とされた(不合格)生徒もいたのに,
「今年から条件をすべて取り払い,校長先生が推薦さえしてくだされば大丈夫です」という
アナウンスがなんと多いことか!! 口では入学後は手厚く指導します,とはいうものの
どうなんだか・・・数学の単位を落としているような生徒を受け入れて,3年後の国家試験
に合格するのだろうか。訊けば,次の機関も似たり寄ったりで,使命感とか責任感とか,
仕事に対する情熱さえないまま専門職になってくケースがこれから増えるのだろうか。

チーム医療 「分数できない子が来るのに、質を担保できるか」

職業のこともなんにも知らない(=職業観をもたないまま)で,親や担任,周りからちょっと勧め
られたとか,たまたま見たパンフで他を見ずにもうそこしか見えなくなってしまうとか,成績とは
かけ離れた専門学校を志望していて,過去問を渡すと1週間以内に進路を変更すると担任に
伝えたり。それでもとにかく早く決めたいから,もうどこでもいいから!!状態になるのがここ数
年の傾向である。

しかも,現場の教員たちがまずチームで働いたことさえない人たちなのに,
子どもたちにはチームを強く意識させようとする矛盾。

そしてまた,諸悪の根源?は4年前からの「新カリ」導入であろう。
つまり,ゆとり教育世代の典型である。
弊社は成績は中の下だが,二次募集でトップ校を落ちてくる金の卵がいるのだが,結局花を
咲かせられずに,ただの,上記のようなフツーの人,またはヒドクなって卒業していく。

ここには学ぶ生徒たちの責任では決してないから,余計に腹立たしいし,もどかしいのだ。
自分のクラスだけ遅刻をつけない,自分のクラスのテストの平均がやたらスバ抜けて高い。
この3年,都立の現場を通して,ヘタすりゃ一介の担任がどうにでも調査書を操作できるんじゃ
ないか,あるいはしてるんじゃないかと思うような雰囲気は残念ながら否定できない。

自分さえ,自分の次の転勤先の確保できればとか,勤務評価とか,そのためには都教委に名を
売るのがいいなどと平然と語っては,実力以上の都教委の仕事をしたり,実際は見るも悲惨な
授業しかできないで,クラスも荒れて落ち着きのない。まさに指導力不足,社会不適応教員だ。
あるいは「ウチの生徒には古典とか要らないから,バカだし」と3年間で一度も漢文を扱わない
教員だって普通にいる。一方で模試の結果が芳しくないと「勉強してないもんねぇ」とか「一般で闘
う気概がなくなってるのよねぇ,今の生徒は」
といかにも生徒の努力不足のみに責任があるかの
ような発言が,挨拶のように交わされている。

推薦やAOはダメだといいながらも,結局説得もせずにホイホイ調査書出しているのをみると,
やっぱり学年や担任としての評価を少なからず意識しているはずだ。なぜなら,3年の担任は
来季,転勤する可能性が高いからだ。今の現場より,少しでもいい現場に行こうと必死なのか
もしれないけれど,結局生徒のためにはなっていないし,社会に有能な人材を送り出している,
という実感なんてないのだろう。

ラクをして,理学療法士のAO推薦に合格した女子生徒は,2学期からパタリと授業に出てこない。
たまに見てもだらしない格好で,化粧して,相変わらずぞんざいな言葉遣いである。
中間考査の結果も下から見たほうが見つけやすいというひどさ。

第一志望の航空専門学校は無理っぽいからと第二志望に切り替えて,毎日英語の先生の所に
通って個別指導を受けていたが,どうしてもピアスや茶髪とロン毛が最後の最後まで整わず,結
局黒いままだけでAO推薦受験。合格はしたが,希望していた整備士科ではなく,別科での合格
にすぎず,それを合格通知をもらった5日後に知り,慌てて辞退し,もう航空整備士の道はもう諦
めたという( ̄△ ̄;)たった1ヵ月毎日個別指導受けたからといって,劇的に英語力がアップする
わけがない。でも,彼の中には「あんなに頑張ったのに・・・」という絶望とそしてクサってしまった。
いまや彼は学校には来たり来なかったりで,授業態度もすこぶる悪く,精神的に不安定なのが
見て取って分かる。もう悲惨だ。単位も落としているので,今や卒業が心配である。



医療現場だけでなく,これから10年以内に新カリ世代が続々と社会に出ることになる。
就職できるだけ評価したいところだが,どんな学習過程を経て辿りついているのかは,本人しか分
かりえないのか。自分の努力不足を時代のせいにするのだろうか。挫折にヨワヨワな世代でもある。口では「現場に立てばちゃんとやるって!」と豪語する彼ら・・・だそうです,社会の皆様。

分数どころか,言葉遣いも,言葉さえも知らない,自己を表現し得ない層がラクをして専門学校や大学・短大へ進む。彼らがヒエラルキーの真ん中下を支えていることを忘れてはならない。その層
にとって最低限必要な学力もがヘチマのようにスカスカになりつつある。

先日,医師としてインターン中の卒業生と飲みながらそんな話をして,どーんとブルーになってし
まった。地元の公立中学・高校,国立大学まで行った卒業生が東京で働き始めて,「先生,もし東京で結婚して,子どもができても,公立には入れんと思う。もしかしたら,そうなったら地元に帰るかもしれんけ」と言っていたのが印象的で,背中がキーンと痛くなった。

私1人の力は微力だが,わずかな光を見逃さずに,大切に,容赦なく,鍛えたい。

自分と闘え,ファイターズ。
冷たい水の中を 震えながらのぼってゆけ


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さこち

いつもながら、職場のモヤモヤを論理的に説得力のある文章で表現してくださいますね。読んでると救われます。
明日から通信再開することにしました。
やっぱり書きたいことがあるし、40人の前じゃ口ベタなんで(←職業柄致命的なんすけど)
英語の先生に、再開にあたっての言葉も考えていただきました♪
目の前の生徒にだけでも精一杯のことしたいす。
by さこち (2009-11-12 18:24) 

松matsu

【sakochiサマ】
今週もお疲れ様でした。
行事明けで心身共にタイトな1週間だったと拝察します。
お体も心配です。飲み過ぎない程度に美味しいものを
食しにまいりませふ!お伴いたしますぞ。
by 松matsu (2009-11-14 00:08) 

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